HEAVEN's DOOR


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「おーい、啓太!」
「あ、王様。」

とりあえず校舎を外から見たいという冬紀の希望を聞いて、
啓太と和希、そして冬紀は玄関から外に出ていた。

すると、この学校内の通称王様、丹羽哲也が啓太に声をかけた。

どうやら転入生の噂を聞いて、興味を持ってきたようだ。
最も、学生会の仕事をサボる口実と、啓太に会う口実が含まれていたのだが。


「へ〜〜こいつ?」
無遠慮だが、好感を持たせる人懐っこい表情で丹羽は転入生の顔を見た。
冬紀は少し驚きながらも、微笑んで丹羽に挨拶をした。

「初めまして。今日転入してきました1年の北野冬紀です。
 えと…先輩ですよね。お名前は?」

「お、わりいわりい。
 オレは丹羽哲也。3年の学生会長だ。」
丁寧だが鼻につくようなことのない自然な振る舞いに、
丹羽も破顔一笑、といった笑みをもらした。

「会長さんですか。よろしくお願いします。」

と、和やかに挨拶が交わされたとき。


「そのまごうこと無き会長が仕事をサボって何をしてるんだ。」

「どわっヒデ!」

丹羽の後ろから地を這うような低い声で怒りの言葉をはいたのは
鬼の副会長、中嶋英明だった。


「だ、だからな!啓太以来の転入生が来たっつーから会長として親交を深めようと…。」
「親交深めたかったらまず会長として尊敬できるような行動しろ。」
最もな言葉をきっぱりと遠慮なく言われて、丹羽はおし黙ってしまった。


そんな二人を見て、冬紀は隣の啓太にこっそり耳打ちする。

「このひとも学生会?」
「…うん。副会長の中嶋さん。
 いつもこんな感じなんだよね…。」

至近距離に顔を近づけて啓太と話す冬紀に、ふと中嶋は厳しい視線を寄せた。

「……君が転入生か?」
儀礼的に、やや冷気を含んだ声色で冬紀に声をかけた。


「あ、はい。北野冬紀といいます。よろしく。」
中嶋の冷気にも怯むことなく、挨拶する。


「そうか。…啓太。」
「は、はい?!」

いきなり矛先が自分に回ってきたので、啓太はびくっと眼に見えるほど反応した。


「転入生を早々に引き込むとは、なかなか手が早くなったものだな?」
「へ…?な、何言ってるんですかあああっ!!」
突然中嶋から言われた台詞に、啓太は素直にパニックを起こしていた。

「ヒデ…お前なあ。」
丹羽はやれやれ、と言ったふうに髪をかきあげる。

中嶋は来たばかりの転入生に啓太がなつくのが気に入らないのだろう。
腹いせに啓太をからかって遊んでいるのだ。


冬紀はその様子を見て、面白そうに笑い。
啓太の身体を引き寄せて、肩を抱くと。

「僕、啓太になら引き込まれてもいいけど?」

にっこり笑って、爆弾を投下した。



「ふ、冬紀〜〜?!」

「お、おおおおいっ何言ってんだコラ転入せぇっ!!」

「ほう…?なかなか面白い事を言うな。」

「おいおい…。冬紀勇気あるな…。」


########


わいわいと玄関先で騒いでいると。


自転車に乗った影が現れた。
ご存知関西少年、滝俊介だ。

「ちわ〜〜っす!」
いつもの通りジャンプを決めて、軽やかに啓太他4名の傍に着地した。


「あっれ〜?会長に中嶋さんまでいっしょなん?」

「滝か。相変わらず商売熱心な事だな。」

「よ!さすが中嶋さん。商売人のことよう分かってまんな!
 んで啓太、そこのもう一人のメガネのにーちゃんが転入生か?」

「あ、うん。」

俊介の登場に落ち着きを取り戻したのか、啓太は俊介の言葉に答えた。

俊介は啓太に礼を言うと、早速冬紀に挨拶をした。

「オレは滝俊介ゆーねん。よろしゅうな!
 見ての通りトライアルバイクの天才で学園内の届け屋やっとるんや。」

「あ、はい。よろしく。
 僕は北野冬紀です。」
たたみかけるように挨拶してきた俊介に驚きながらも、冬紀も本日何度目かの自己紹介をした。

「敬語はいらんで。何かかゆーなるからな。
 オレの事も俊介て呼んでな。冬紀?」

「そう?じゃあよろしくね俊介。」
流石に順応力のある冬紀は、既に俊介のテンポになれてきたようだ。


「おっしゃ。じゃあこれ、オレの携帯ナンバーやから。
 用事があったらいつでも呼んでや〜〜。」

そう言って、啓太の時にも渡した名刺を冬紀の手に置くと。

「じゃ、オレ仕事の途中やったから。まったな〜〜〜。」

速攻でその場を去って行った。

「はやい…。」

「…さすが俊介…。」




「さ、ぼんやりしてる場合じゃないな。
 冬紀、校舎の案内を続けるよ。」
和希の声に、各々が反応する。

「そうだね。忘れるとこだった。」
「はは…。」

「さ、丹羽。とっとと戻って仕事の続きだ。」

「だ〜〜!!滝のせいで逃げ損ねちまったじゃねえか!!」

「ふざけとらんで戻るぞ!」


そしてこの場は解散となった。


############


「啓太といたあれが転入生か。」

「そうみたいですね。…伊藤くんもう仲良くなったみたいで…。」

手にした紅茶を飲みながら窓の外の先程の光景を見ていたのは、西園寺郁。

羨ましいなあ、と胡散臭い笑みをこぼすのは会計部、七条臣。


二人とも、啓太の姿をついつい眼で追ってしまうクセがついていたので。
自然と啓太の傍に居た和希と、見慣れない生徒が目に入った。

会話で彼が転入生であるとは知ったが。

早々に(自分の)愛しい啓太を仲良くしているのを見て、気分がささくれるのを感じていた。


「…まあ、突然来た馬の骨には渡しませんけどね…。」

「確かにな。」

その時は、まだ。


嵐の予感すら遠い場所にあったことに、二人は気づくことも無かった。


                                              To be Continued・・・


キャラを出すのに一杯一杯なのが眼に見えてますね…。
さてさて。これから少しずつ話が動いていく予定ですが…。
次に誰かが狙われる予定です。そーいう意味じゃなく。(笑)
オリキャラはCP絡ませる予定はないです。少なくとも今の所は。
あくまで啓太君総受けです。

ただ、このオリキャラ、まだ気づく人はいないでしょうが実は…なのですよね。
この文で感づいた人は凄いです。一人をのぞいて。
その一人はこれを読むことはないんでしょうが…。(笑)あ、見てたら返事おくれ。
っていうかこのサイトで学園ヘヴン小説読んでくれてる人なんているのでしょうか…。
いたら嬉しいです(笑)

ではでは今日はこの辺で…。


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